「5S」とはいったい何のこと? -5Sについて解説します-

5S(ゴエス;整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)という言葉を初めて聞く人もいるかもしれません。5Sとはなんのことかというと、モノを整理するときの思想とか考え方を示したものです。こう説明しても、

「そもそも整理するときの思想って何?」

「片付けるのに思想がいるの?」

と思っちゃう人も多いのではないでしょうか。ズバリ答えをいっちゃうと、整理するときの思想とは、

  • 元の状態に戻らないこと
  • 誰でもできること
  • 習慣化してしまうこと

これらに尽きます。つまり、無意識のうちに誰でも出来てしまうようにシステム化することが大事だということなんです。これって実はビジネス(リアルビジネスでも、ネットビジネスでも)にも通用する思想だと思いませんか。例えば、多くの顧客に対応するには、一人一人と向き合っていては時間が足りません。クオリティを保ちながら対応していくにはシステム化、自動化がどうしても必要となります。

ここまで読んでくれた方はもうお分かりだと思いますが、5S活動とはたんにモノを整理整頓するだけではなく、実はビジネス活動にも直結しているんです。そして今後の記事で書こうと考えていますが、5S活動はメンタルの整理、さらには強化もつながっているんです。

では、その5S活動はどのように行っていくのでしょう。これから5Sの項目について解説していきたいと思います。

—目次—

「整理する」の本当の意味とは

そんなこんなで僕の整理道の学習が始まったのですが、いきなり大きな壁にぶつかりました。

皆さんは「整理する」と聞いてどんな行動を思い浮かべますか?

僕は、出しっぱなしになっているモノを元の場所に戻して、キレイに揃えて並べることだと思っていました。確かにこれも正しいのですが、実はその前にやっておきべきことがあるのです。

それは、いるモノといらないモノを分けるという作業です。

この作業は、文章で書くと一言で終わってしまいますが、実際にやってみるとものすごく大変です。

そもそも、「いらないモノなんか持ってるわけないじゃん。」という先入観から、いるモノといらないモノのボーダーラインがあいまいになっていて、なかなか“いらないモノ”認定することができません。

そう、自分の中にいらないモノの確固たる基準がないのです。

これでは、何度整理をしても何も変わりません。頭の中も同じで、余計な考えや感情にも捨てる基準がないと、何度整理しようとしても無駄に終わってしまい、いつまでも残ってしまいます。

では、いらないモノの基準はどうやって決めるのか?

基準の決め方にはいくつか方法があるのですが、僕が良く使うのはモノを使う頻度で基準を作る方法です。例えば、使うのが①毎日、②週に二~三度、③週に一度、③月に一度、④半年~1年に一度、というように分けてみて、「④半年~1年に一度」に振り分けられるモノは捨てる、または他のモノで代用することを考えます。

この方法は深く考えずに分類できますし、半年から年に一度しか使わないモノはたとえなくなったとしても、普段の業務や生活にさほど影響ありません。むしろ、しまう所を考えなくて済むので、業務や家事が非常に効率的になります。

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モノを捨てるのに迷いが生じたら

整理ではまず、いるモノといらないモノを区別するんですが、あなたを含む多くの人はここで迷いが生じます。

なぜなら、いるモノにも、いらないモノにも属さない厄介なモノが存在するからです。

それは何かというと、捨てられないモノです。この捨てられないモノを手にすると、あなたは「今は使わないモノだけど、捨てるのはもったいない」という感情で支配されます。

でも、ちょっと待ってください。本当に、それを捨てるのはもったいないのでしょうか?

モノを保管するにはスペースが必要であり、使わないモノを置いておくスペースはもったいないです。 もちろん、そのスペースにも賃料がかかります。そのお金ももったいないです。

使わないモノで隠されてしまっている中から、必要なモノを見つけるのにかかる時間がもったいないです。 さらに、その必要なモノを取り出すのにかかる時間ももったいないです。

使わないモノを眺めながら、邪魔だなと思ってイライラするメンタルがもったいないです。

賢明なあなたなら、もうお分かりかもしれません。そうです、もったいないがすり替わってしまっているのです。本来、もったいないとするべきは、あなたが使うスペースや時間、メンタルのはずです。

あなたのスペースや時間、メンタルには限りがあります。モノが増えれば増えるほど、やることも増えます。管理することで時間を奪われるだけでなく、気持ちのゆとりさえも奪われてしまいます。

今使っていないモノは、今のあなたの生き方には関係のないモノです。むしろ、あなたの理想の生き方を邪魔する厄介なモノなのです。

では、快適で理想の生き方を手に入れるにはどうするのか。それは簡単です。あなたの生き方に関係のないモノを排除すればよいのです。

周りを見渡して、いつか使うかもしれないが、今は使っていないモノを見つけたら、その場で処分していきましょう。少しずつですが、確実にあなたの理想の生き方に近づいていきます。

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整頓とは使いやすい状態にすること

整理をして、いるモノだけになったら、次は整頓をしていきます。整頓とは、残したモノを、使いやすい状態にしておくことです。

使うときにサッと出して、使い終わったらパッと戻す。この状態であれば、何も面倒なことはなく、ストレスもかかりません。

僕は、モノの場所を探して、しゃがんだり、背伸びしたり、あっち行ったりこっち行ったりしていました。さらに、使い終わった後もモノを戻そうとして無理に詰め込んだり、どこに戻すか考えたりして、モノを出すのもしまうのも時間がかかって、だんだん面倒くさくなっていました。そして、結局適当に置くので乱雑になっていました。

モノが少ないと、こうなることを防げます。保管スペースにモノがポツン、ポツンと置いてあるだけなので、取る時に迷いませんし、返す時も素早く元に戻せます。

ある家具メーカーでは、営業から注文が入り、工場が製作に必要な部材や部品をそろえるのに、ベテラン社員が倉庫に入って二時間も三時間もかかっていました。モノの置き場所が決まっておらず、空いているスペースにみんなが勝手に置いていたので、ベテラン社員でさえ、すべてを探すのにそれほどの時間がかかっていたそうです。そして「探す」という行為さえ立派な「プロの仕事」でした。ところが、整理と整頓を徹底したところ、新人でさえ短時間で揃えられるようになりました。本来「仕事」と呼べない行為を「仕事」と勘違いすると、これだけのムダを放置することになります。

また、必要なモノだけを誰もがわかるように置き場を決めて表示することも大事です。

置き場を決めても守られない。自分で決めたことさえも忘れてしまいますので、他の人はなおわかりません。そこで表示が必要になります。表示をすることによって、誰もがモノの場所を正確に把握できるようになります。

すなわち、「表示」までしないと整頓にならないのです。また、たとえ表示をしていても、誰もがわかる表示でないと意味がなく、整頓になりません。なぜなら、本来そこにあるモノとは別のモノが置いてあっても、表示が理解できる一部の人しか気が付かないからです。人はついつい、手近なたまたま空いている棚にモノを入れて、「後で直せばいいや」と言い訳しがちだからです。なのに、その言い訳が実行されることはめったにありません。そんなことを繰り返しているうちに、何がどこにあるのかがさっぱりわからなくなってしまいます。

もう一つ大切なことは、必ず整理をしてから整頓をするという順番です。なぜなら、整理をしないで整頓すると、いらないモノまで表示をして並べていくことになります。これはムダですよね。最小限の行動で、最大限の効果を生み出しましょう。

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清掃とは掃除をすることだけにあらず

清掃とは、掃除をしてキレイな状態を保つことです。ただ、清掃の目的はそれだけではありません。清掃の目的は、常にキレイに保つことで異常を発見しやすくすることです。

例えば、工場の床に油汚れがあったとします。常にキレイに保たれているのならば、床についた油汚れは機械から漏れ出しているのではないかと予測して、素早く近くの機械の点検を行うことができます。

「キレイ」の感じ方は人によって違う

「キレイ」の感じ方は人によって異なります。ある人にとっては「きれいだ」と感じる状況でも、他の人のとってはそうでもなくて、「汚い」と感じることがあり、キレイさに対する感受性は人それぞれです。

誰でも同じように清掃活動ができるようにするため、ここまできれいにするという基準を示す必要があります。このとき写真やイラストにして示すとわかりやすいです。さらに、誰が、いつ、どこを、どんな方法できれいにするのかというルール作りをすると作業しやすくなります。

また、汚れの発生源やモノが散らかる原因が何なのかを調査して、その対策を講じるのも清掃のうちに入ります。清掃に必要な道具をそろえて、すぐに取り出せる場所に設置することも大切です。

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清潔とは、いつでも、どこでも、誰でも片付けられる状態を保つこと

5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけの五つの頭文字Sからとっている)における清潔とは、いつでも、どこでも、誰でも片付けられる状態を保つことを指します。一般的には清潔とは「汚れがなく、きれいな状態」の意味で使われることが多いのですが、5Sでは整理・整頓・清掃ができており、身の回りの必要なものがいつでも使える状態を常に維持していることを指します。つまり簡単に言うと、ストレスフリーな状態で生活できるということです。

整理で不要なものをなくし、整頓で必要なものが決まった場所に、決まった方法で保管してあり、清掃によりそれらがいつでも使える状態を保っている。この状態を常に維持していくことで「清潔」が成り立ちます。つまり「清潔」に取り組むということは、すでに整理・整頓・清掃が安定・定着していて、あなたの意識改革や取り組み体制もある一定のレベルを超えたところに達しているということを表しています。

整理・整頓・清掃を普段の活動に組み込んで定着してくると、自発的に「きれいな状態を保ちたい」、「汚れをだしたくない」という意識がめばえてきます。結果、清掃への取り組み姿勢が変わり、汚れを出さない作業の進め方を工夫するといった動きも出て、「清潔」という目標がより達成されやすくなります。もちろん簡単なことではありませんが、何事もはじめは努力して継続することが必要です。努力を続けていると、やがてそれが当たり前となり、「きれいな状態を保つ」のが自然となってきます。こうなったらもう元には戻れません。意識せずともきれいが保たれていきます。ぜひお試しを。

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しつけの本当の意味とは、決められたことを守っていく風土づくり

5Sの最後は「しつけ」であり、5Sの中での「しつけ」とは組織として決められたことを守っていく風土づくりとなります。日本語のしつけと言う言葉からは、子供やペットをしつけるように厳しくルールを守らせていく、といったイメージを抱きますよね? また、この言葉のイメージが独り歩きして、部下に対して独自のルールを押し付けたり、サービス残業を強いたりなど、理不尽なことに便利に利用されることも少なくないようです。

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